放送大学の記述式試験の課題で、香川照之・三代目市川猿之助親子の葛藤について書いた。
香川は三代目市川猿之助と浜木綿子の子供。猿之助が別の女性と暮らし始めたために早い段階で離婚し、母方で歌舞伎とは無縁に育った。
この本は歌舞伎のスター猿之助を父に持ちながら、母に引き取られたために本来なら自分が得るはずの果実を得ていないという思いが強すぎてしんどくなった。
ずっと育ててくれた母方の家族を悪く書いたり、大人になってから会った父に「あなたは息子ではない、僕はあなたの父ではない」と強く拒絶されているのに、息子の誕生を機に歌舞伎入りを決意したりする。人間のままならなさに思いを馳せる。
一般的な歌舞伎俳優は幼少時から研鑽を積む。その積み重ねがなく40代で歌舞伎入りした香川が大変なのは理解できる。
そんな大変な思いをした香川は「自分の歌舞伎入りが家族を結び付けた」と書くが、ここで指すのは父と自分の関係だろう。
香川の歌舞伎入りによって妻とは離婚しているし、娘には言及がないし、母への当たりは強いし、香川にとって女性は家族の一員として認めるべき存在ではなさそうだ。
息子・團子はいい若手になったけど、香川まで歌舞伎に来なくてもよかったのではとどうしても思う。