8月の京都・歌舞伎と展覧会編

京都旅行から無事帰った。

体調を崩さず、台風で新幹線が遅れることもなく、見たいものはだいたい見られた。終わってみればかなりいい旅。

目的はあってもなくても、違う街で過ごすとかなり元気が出る。

就職活動や暑さで疲れていた心身がよみがえった。

続いて見たものの記録。今回は歌舞伎と展覧会について。建築は次回書く。

南座 / 坂東玉三郎特別公演 怪談 牡丹燈篭

今回のメインイベント。好きな喜多村緑郎が首都圏の公演に出演しなくなって1年以上経ち、出ている街に行くしかないとこの旅行を決めた。

緑郎が演じる新三郎は彼に恋した女が亡くなった幽霊になったのち、あの世から取り憑かれる気の毒な二枚目。悪役の要素や笑いの要素がなく、ちょっと弱い男像は新鮮だった。

弱い男でいうと、片岡愛之助演じる伴蔵は妻(坂東玉三郎)にそそのかされて、大金と引き換えに新三郎宅のお札をはがして幽霊にとりつく隙を与え、金持ちになってからは料理屋の女(河合雪之丞)を人生やりなおす勢いで口説く。単にお金で目新しい相手を得たくなったのではなく、妻と暮らし続けることは罪の記憶と居続けることであり、そこから解放されたかったのではないかと思った。

見ごたえのある内容でとてもよかった。

記念にプログラムと南座限定パッケージの虎屋の羊羹を買った。

京都工芸繊維大学美術工芸資料館 / 田中一光ポスター展 舞台と文字ののぞき穴から

デザイン系の企画展がいつも魅力的で、近くなら通い詰めたい資料館。今はメイン展示が田中一光、他に小展示で「比べてみよう! -シリーズ物における表現の違い」(ヒロシマ・アピールズとパリ日本文化会館のポスター)、「麗しのリバティ―花柄パターンの魅力」が開催されている。

田中一光展は特に好きな『産経観世能』シリーズが充実していた。洗練された文字の扱いを堪能する。他にアートディレクターとして携わった演劇のポスターも新鮮。

この資料館は入場料200円と低額なばかりか、過去展示のポスターやパンフレットを無料頒布している。ありがたいけど申し訳ないような。さすがに入場料だけでは気が引けたので、有料の図録も購入してからいくつかパンフレットをいただいた。生活が安定したらここに寄付したい。